iPhone 16シリーズの登場で、次世代規格であるWi-Fi 7への対応が大きな注目を集めています。
特に、320MHzの帯域幅で超高速通信が実現するという期待が高まる中、実際の最大通信速度はどの程度なのでしょうか。
また、「iPhone16のHzは?」という検索キーワードは、通信の周波数だけでなく、ディスプレイ性能を指す場合もあります。
画面の滑らかさを示すリフレッシュレートは向上したのか、全モデルが120Hzに対応しているのか、そしてiPhone16で120fpsの設定は可能なのか、多くの疑問が浮かびます。
この記事では、iPhone16のWi-Fi性能と320MHz対応の真実から、ディスプレイの「Hz」に関する詳細まで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。
iPhone16の320mhz対応の噂とWi-Fi 7の性能
- 次世代規格のWi-Fi 7とは何か
- 320mhzの帯域幅で超高速通信が実現
- iPhone16の最大通信速度は?
- MLO機能による通信安定性の向上
- 実際の通信速度テストから見える実力
次世代規格のWi-Fi 7とは何か

まず、Wi-Fi 7がどのような位置付けの技術なのかを具体的にご説明します。
Wi-Fi 7は、これまで広く使われてきたWi-Fi 6やWi-Fi 6Eに続く、全く新しい世代の無線LAN規格です。
技術仕様を定める専門機関「IEEE(米国電気電子学会)」による正式名称は「IEEE 802.11be」と言いますが、これでは一般の利用者には少し分かりにくいかもしれません。
そこで、誰もが直感的に世代を理解できるよう、「Wi-Fi 7」という名称が使われています。
このように世代を数字で示すようになったのは、Wi-Fi 4(IEEE 802.11n)が登場してからのことです。
それ以前は「IEEE 802.11a」や「b」、「g」といったアルファベットで区別されており、新旧関係や性能の違いが非常に把握しづらい状況でした。
しかし、スマートフォンやIoT家電の普及に伴い、無線LANが専門家だけのものではなく、あらゆる人々の生活に不可欠なインフラとなったため、普及を促進する団体「Wi-Fi Alliance」が、より親しみやすい名称を導入するに至りました。
また、Wi-Fi 7は、従来の規格が利用していた2.4GHz、5GHz、6GHzという3つの周波数帯を引き続き活用します。
それぞれの周波数帯には、以下のような特徴があります。
- 2.4GHz帯: 電波が遠くまで届きやすく、壁などの障害物にも比較的強いという長所があります。一方で、通信速度は他の帯域に比べて遅く、電子レンジやBluetoothなど多くの機器が利用するため、電波の干渉が起きやすいという短所も持ち合わせています。
- 5GHz帯: 2.4GHz帯よりも高速な通信が可能ですが、障害物に弱く、電波が届く範囲が狭くなる傾向にあります。
- 6GHz帯: Wi-Fi 6Eから利用が始まった新しい周波数帯です。利用者がまだ少ないため電波の干渉が極めて少なく、非常に高速で安定した通信が期待できます。しかし、性質上、3つの中で最も障害物に弱いという特性を持っています。
Wi-Fi 7はこれらの周波数帯をただ使うだけでなく、複数の帯域を束ねて同時に通信する「MLO」のような革新的な技術を搭載している点が、これまでの規格との大きな違いです。
単に通信速度の理論値を引き上げただけでなく、実際の利用環境における安定性や効率性を劇的に向上させることを目指して設計されています。
iPhone16シリーズのような最新デバイスがこのWi-Fi 7に対応したことは、私たちのワイヤレス通信体験が次のステージへ進む大きな一歩と言えるでしょう。
320mhzの帯域幅で超高速通信が実現

Wi-Fi 7がこれまでの規格を大きく超える通信速度を発揮できる背景には、いくつかの重要な技術革新があります。
中でも特に大きな役割を果たしているのが、通信に利用できる「帯域幅」の劇的な拡大です。
通信のハイウェイを2倍に広げる320MHz帯域幅
帯域幅とは、データを送受信するために使われる電波の通り道の広さを示すもので、よく高速道路の車線の数に例えられます。
この道が広ければ広いほど、一度に多くのデータ(車)をスムーズに流すことが可能になります。
従来のWi-Fi 6やWi-Fi 6Eでは、この帯域幅は最大で160MHzでした。
これを16車線の高速道路だと想像してみてください。
これでも十分に高速ですが、Wi-Fi 7では、この道幅が一気に2倍の最大320MHzへと拡張されています。
つまり、32車線もの広大なハイウェイを使ってデータをやり取りできるようになったのです。
この広大な320MHzの帯域幅は、主に電波の干渉が少なく広大な帯域を確保しやすい「6GHz帯」で利用されます。
道路の幅が2倍になれば、理論上の通信速度も単純に2倍になります。
これにより、8Kのような超高精細動画のストリーミングや、大容量のVR/ARコンテンツのダウンロードといった、これまで有線接続が推奨されてきたような用途でも、ワイヤレスで快適に楽しめる可能性が大きく広がりました。
情報の密度を高める4096QAM
Wi-Fi 7の高速化を支えるもう一つの柱が、「4096QAM(カム)」と呼ばれる変調方式の採用です。
変調方式とは、デジタルデータを電波の波に乗せるための技術のことで、この性能が高いほど、一度の信号でより多くの情報を送ることができます。
これを、荷物を運ぶトラックに例えてみましょう。
従来のWi-Fi 6/6Eで使われていた「1024QAM」は、一度の通信で10bit(2の10乗=1024パターン)の情報を表現できました。
一方、Wi-Fi 7の「4096QAM」は、これを12bit(2の12乗=4096パターン)にまで高めています。
これにより、一度に運べる情報量が1.2倍に増加し、通信の効率が大幅に向上するのです。
ただし、この技術は非常に精密な信号を扱うため、電波の状態が良い、比較的ルーターに近い場所でないと最大限の効果を発揮しにくいという側面もあります。
このように、通信の通り道そのものを2倍に広げる「320MHz帯域幅」と、その道を流れる情報の密度を1.2倍に高める「4096QAM」という2つの技術革新が組み合わさることで、Wi-Fi 7は前世代を凌駕する圧倒的な通信性能を発揮します。
したがって、320MHzの帯域幅は、Wi-Fi 7のポテンシャルを最大限に引き出すための、まさに鍵となる技術と言えるでしょう。
iPhone16の最大通信速度は?

Wi-Fi 7の理論上の最大通信速度は、実に46Gbpsにも達すると言われています。
これはWi-Fi 6/6Eの最大9.6Gbpsと比較しても約4.8倍という驚異的な数値です。
このため、iPhone 16シリーズがWi-Fi 7に対応したことで、通信速度の大幅な向上が期待されていました。
具体的には、iPhone 16に搭載されているモデムの性能などから、最大で5.8Gbps程度の速度が出るのではないかとの予測もありました。
もしこの速度が実現すれば、高画質な動画のストリーミングや大容量ファイルのダウンロード、オンラインゲームなどがこれまで以上に快適になるはずです。
ただし、これはあくまで理論上の理想的な条件下での話です。
実際の通信速度は、使用するWi-Fiルーターの性能や、インターネット回線の速度、電波の状況、周囲の障害物など、さまざまな要因に影響を受けます。
そのため、誰もが常に最大速度を体験できるわけではないという点は、理解しておく必要があります。
MLO機能による通信安定性の向上

Wi-Fi 7がもたらすメリットは、速度の向上だけではありません。
通信の安定性を高める「MLO(Multi-Link Operation)」という新機能も、非常に重要な技術です。
これは、2.4GHz、5GHz、6GHzといった複数の周波数帯(リンク)を束ねて、同時に通信に利用する仕組みです。
MLOの仕組みとメリット
携帯電話の通信技術で使われる「キャリアアグリゲーション」に似たものだと考えると、イメージしやすいかもしれません。
例えば、5GHz帯が他の電波との干渉で混雑してしまった場合でも、MLOに対応していれば、空いている6GHz帯や2.4GHz帯にスムーズに切り替えたり、あるいは両方を同時に使って通信を継続したりできます。
これにより、通信が途切れにくくなり、遅延も大幅に減少します。
特に、家の中を移動しながらビデオ通話をする場合や、一瞬の遅延が勝敗を分けるオンラインゲームをプレイする場合などに、その効果を大きく実感できると考えられます。
MLOの利用条件
ただし、このMLOの恩恵を受けるためには、iPhoneのようなデバイス側だけでなく、接続先となるWi-Fiルーター側もMLOに対応している必要があります。
また、MLOには複数の動作モードがあり、どのモードに対応しているかによっても効果が変わってくるため、Wi-Fi 7の性能をフルに活かすには、機器間の対応状況を確認することが大切になります。
実際の通信速度テストから見える実力

大きな期待が寄せられていたiPhone 16のWi-Fi 7性能ですが、実際のテスト結果は少し意外なものでした。
フランスの技術メディア「Les Numeriques」がWi-Fi 7対応ルーターを使って行った詳細な速度テストによると、iPhone 16 Proの通信速度は最大で1.6Gbpsから1.7Gbps程度に留まったと報告されています。
この数値は、Wi-Fi 6Eに対応する前世代のiPhone 15 Pro Maxで計測された速度と、ほとんど変わらないものです。
理論上は大幅なスピードアップが見込まれていたにもかかわらず、実際にはその性能が十分に発揮されていないことが明らかになりました。
この結果は、多くのユーザーにとって予想外だったかもしれません。
せっかく最新のWi-Fi 7に対応したのに、なぜ速度が向上していないのでしょうか。
その背景には、iPhone 16に隠されたある「制限」が存在することが、後の調査で判明しています。
次のセクションでは、その原因と、もう一つの「Hz」の謎について詳しく掘り下げていきます。
iPhone16の320mhz非対応説と画面性能のHz
- そもそもiPhone16のHzとは?
- ProMotionの画面リフレッシュレートは
- 全モデルが120Hzに対応しているのか
- iPhone16で120fpsの設定はできるのか
- なぜ帯域幅が制限されているのか
- iPhone16の320mhz対応に関する結論まとめ
そもそもiPhone16のHzとは?

「iPhone 16のHz」というキーワードで情報を検索された際、Wi-Fiの専門的な話と、ディスプレイの性能に関する話が混在していて、少し戸惑われたのではないでしょうか。
実はこの背景には、Hz(ヘルツ)という単位が、ITの世界で全く異なる二つの重要な性能指標に使われているという事情があります。
Hzとは、もともと「1秒間あたりの周波数や振動数」を示す物理の単位です。
この普遍的な単位が、iPhoneという一つのデバイスの中で、異なる文脈で用いられているために、時に混乱を招くことがあるのです。
ここでは、その二つの「Hz」がそれぞれ何を指しているのかを、明確に整理していきます。
通信の速度や特性に関わるHz
一つ目は、これまで解説してきたWi-TFiの性能に関連するHzです。
こちらでは、主に「GHz(ギガヘルツ)」と「MHz(メガヘルツ)」という二つの単位が登場します。
- 周波数帯(GHz): これは、Wi-Fiが通信に利用する電波の種類(通り道)を示します。2.4GHz、5GHz、6GHzといった種類があり、それぞれに電波の届きやすさや速度といった特性があります。
- 帯域幅(MHz): これは、前述の通り、通信の通り道の「広さ」を示します。Wi-Fi 7の大きな特徴である320MHzという数値がこれにあたり、この幅が広いほど一度に多くのデータを送受信できます。
つまり、通信におけるHzは、どの道路(GHz)を、どれくらいの広さ(MHz)で使うか、といった通信の根幹に関わる性能指標と言えます。
ディスプレイの滑らかさを決めるHz
そしてもう一つが、ディスプレイの性能を示す「リフレッシュレート」としてのHzです。
こちらは、ディスプレイが1秒間に何回画面の表示を更新できるか、という回数を示しています。
これをパラパラ漫画に例えると非常に分かりやすいでしょう。
1秒間に60枚の絵をめくって動きを見せるのが「60Hz」、同じ1秒間で120枚の絵をめくるのが「120Hz」です。
当然、後者の方がキャラクターの動きは遥かに滑らかに見えます。
iPhoneの画面でも同じことが起きており、リフレッシュレートの数値が高いほど、ウェブサイトをスクロールする際の残像感が少なくなったり、対応するゲームアプリの映像がスムーズになったりと、操作時の快適さが大きく向上するのです。
このように、「iPhone 16のHz」という言葉は、通信性能とディスプレイ性能という、全く別の二つの側面を指し示している可能性があります。
この記事では、読者の皆様が抱える両方の疑問を解消できるよう、ここからのセクションでは後者、つまりディスプレイの滑らかさに関わる「Hz」に焦点を当てて、さらに詳しく解説を進めてまいります。
ProMotionの画面リフレッシュレートは

iPhoneのディスプレイ性能について語る上で欠かせないのが、「ProMotionテクノロジー」です。
これは、iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxに搭載されている先進的なディスプレイ技術を指します。
ProMotionテクノロジーの最大の特徴は、コンテンツに合わせて画面のリフレッシュレートを自動的に調整する機能にあります。
リフレッシュレートとは、1秒間に画面が書き換わる回数のことで、この数値が高いほどスクロールや動画の動きが滑らかに表示されます。
iPhone 16 Proモデルのディスプレイは、最大で120Hzのリフレッシュレートに対応しています。
つまり、1秒間に120回も画面を更新できるため、ウェブサイトをスクロールする際の指への吸い付くような感覚や、アニメーションの非常に滑らかな動きを実現します。
一方で、静止画を表示している時や電子書籍を読んでいる時など、画面の動きが必要ない場面では、リフレッシュレートを最低1Hzまで自動的に下げます。
これにより、無駄な電力消費を抑え、バッテリーの持続時間を延ばすことにも貢献しています。
この賢い可変リフレッシュレートこそが、ProMotionの大きなメリットなのです。
全モデルが120Hzに対応しているのか

iPhone 16シリーズは、スタンダードモデルとProモデルの大きく分けて4つの機種で構成されていますが、ディスプレイのリフレッシュレート(Hz)に関しては、全てのモデルで仕様が共通しているわけではありません。
結論から言うと、最大120HzのProMotionテクノロジーに対応しているのは、iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxの2機種のみです。
一方で、iPhone 16とiPhone 16 Plusのスタンダードモデルは、従来通りの最大60Hzのリフレッシュレートとなっています。
この仕様の違いは、ユーザー体験に直接影響します。
Proモデルでは非常に滑らかな画面操作を体験できますが、スタンダードモデルではそれが得られません。
Appleは長年、このリフレッシュレートによってProモデルとスタンダードモデルの間に明確な差別化を図っています。
iPhone 16を選ぶ際には、このディスプレイ性能の違いが、自身の使い方にとってどれだけ重要かを考えることが一つのポイントになります。
モデル名 | ディスプレイ技術 | 最大リフレッシュレート |
iPhone 16 | Super Retina XDR | 60Hz |
iPhone 16 Plus | Super Retina XDR | 60Hz |
iPhone 16 Pro | ProMotion搭載Super Retina XDR | 120Hz |
iPhone 16 Pro Max | ProMotion搭載Super Retina XDR | 120Hz |
iPhone16で120fpsの設定はできるのか

ディスプレイの「120Hz」と関連してよく話題になるのが、ゲームなどにおける「120fps」での表示です。
ここで、Hz(リフレッシュレート)とfps(フレームレート)の関係を整理しておくことが大切です。
リフレッシュレート(Hz)は「ディスプレイ側」の性能で、1秒間に画面を何回更新できるかを示します。
一方、フレームレート(fps)は「ソフトウェア側」(アプリやゲーム、動画など)の性能で、1秒間に何枚の画像(フレーム)で映像を構成しているかを示します。
120fpsの滑らかな映像を体験するためには、まずディスプレイが120Hzの更新に対応している必要があります。
1秒間に120枚の絵を表示するには、画面も1秒間に120回更新できなければならないからです。
iPhone 16 ProおよびPro Maxは120HzのProMotionディスプレイを搭載しているため、120fps表示に対応する「器」を持っています。
したがって、ゲームアプリ自体が120fpsモードに対応していれば、設定を有効にすることで、非常に滑らかで高精細なゲームプレイを楽しむことが可能です。
ただし、iPhone 16および16 Plusはディスプレイが60Hzのため、アプリが120fpsに対応していても、画面上では最大60fpsでの表示となります。
なぜ帯域幅が制限されているのか

話をWi-Fiの性能に戻しましょう。
実際のテストでiPhone 16の通信速度が期待ほどではなかった原因は、Wi-Fi 7の目玉機能である「320MHzの帯域幅」が活用されていないことにあります。
調査によると、iPhone 16シリーズでは、この帯域幅が意図的に半分の「160MHz」に制限されていることが判明しました。
Appleがなぜこのような制限を設けているのか、その公式な理由は発表されていません。
しかし、いくつかの理由が推測されています。
一つは、バッテリー消費や本体の発熱を管理するためです。
広大な帯域幅を使って高速通信を行うと、それだけ多くの電力を消費し、チップセットも高温になりやすくなります。
デバイスの安定動作やバッテリー持続時間を優先した結果、性能に制限をかけた可能性が考えられます。
また、各国の電波法の違いも関係しているかもしれません。
例えば、米国ではWi-Fi 7で利用できる320MHz幅のチャンネルが3つありますが、欧州では1つしかありません。
全世界で同等の体験を提供するために、あえて性能を抑えた仕様にしているという見方もできます。
この制限がソフトウェアによるものであれば、将来的なiOSのアップデートで解除される可能性も残されています。
しかし、現時点では、iPhone 16はWi-Fi 7のポテンシャルを完全には引き出せていない状況と言えます。