ソニーから登場した最新ミドルレンジスマートフォン、Xperia 10 VII。
購入を検討しているものの、「Xperia 10 VIIはがっかり」といったインターネット上のネガティブな評判を目にして、最終的な決断をためらっている方も多いのではないでしょうか。
フラッグシップモデル譲りの洗練されたイメージとは裏腹に、新しいデザインにがっかりという声や、シリーズの長所であったはずのバッテリー持ちが悪いという指摘、あるいはゲーム性能の低さといったパフォーマンスに関する懸念が確かに存在します。
さらに、仕様面でストレージ容量が128GBのみという選択肢の少なさや、待望されながらも望遠カメラは非搭載である点、そして顔認証ができない、ワイヤレス充電も非対応といった現代のスマートフォンとしては物足りない機能面の不満も、実際のユーザーの評価として数多く挙がっています。
しかし、もちろん良い点は?というポジティブな側面にも目を向けるべきです。
この記事では、そうした一つひとつの懸念点を徹底的に深掘りし、Xperia 10 VIIが本当に「がっかり」な一台なのか、あなたのスマートフォン選びで後悔しないための客観的で詳細な情報を提供します。
Xperia 10 VIIはがっかり?デザインと性能の真相
- 刷新されたデザインにがっかりする声
- ゲーム性能の低さは改善されず
- バッテリー持ちが悪いとの指摘も
- ストレージ容量が128GBのみという点
- 望遠カメラは非搭載で撮影の幅が狭い
刷新されたデザインにがっかりする声

Xperia 10 VIIにおける最も大きな変化点、それは長年にわたりシリーズのアイデンティティであった21:9の縦長ディスプレイとの決別です。
シネマサイズのこの比率は、映画コンテンツを画面いっぱいに楽しめたり、SNSのタイムラインを一度に多く表示できたりするメリットがありました。
しかし、Xperia 10 VIIではより市場で一般的な19.5:9のアスペクト比へ変更。
これに伴い、本体の横幅が前モデルXperia 10 VIの約68mmから約72mmへと広がりました。
この変更は、Webサイトの閲覧性が向上し、キーボードでの文字入力がしやすくなるという実用的なメリットを生んでいます。
しかし、これまでXperiaの大きな魅力であった「唯一無二のスリムさ」と「片手にすっぽり収まる絶妙な持ちやすさ」を損なったと感じる長年のファンは少なくありません。
「デザインにがっかり」という声の根源は、この個性の喪失にあると言えるでしょう。
特に手の小さいユーザーにとっては、わずか4mmの差が片手操作の限界を分ける大きな壁となり、操作感に直接影響を与えています。
デザイン変更に伴うメリット・デメリット
メリット:
- 一般的な動画コンテンツやアプリの表示最適化
- キーボード入力時の安定感向上
デメリット:
- シリーズの象徴であったスリムボディの喪失
- 片手での操作性が低下
- 従来のXperiaらしさが薄れた印象
さらに、背面のカメラユニットが従来の縦一列から横並びのデザインへと刷新された点も、評価が分かれるポイントです。
この変更により、より現代的でシンプルな印象を与える一方で、Xperia 1シリーズから続く統一感のあるデザイン言語を好んでいたユーザーにとっては、「没個性的になった」「他のスマホと見分けがつかない」といった不満を感じる要因となっています。
良くも悪くも市場のトレンドに合わせた「普通のスマホ」に近づいたデザインが、一部の熱心なユーザーにとっては物足りなさを感じさせているのが実情と言えるでしょう。
ゲーム性能の低さは改善されず

Xperia 10 VIIの頭脳にあたるSoC(チップセット)には、「Snapdragon 6 Gen 3」が搭載されています。
これは前モデルのSnapdragon 6 Gen 1からの順当なアップデートではありますが、残念ながら性能の向上幅はごくわずかで、ゲーム体験を大きく変えるには至っていません。
Qualcommの公式情報を見ても、Snapdragon 6 Gen 1とGen 3はコア構成が同じで、クロック周波数を少し引き上げたマイナーチェンジ版であることがわかります。
そのため、ベンチマークスコア上ではCPU性能が数パーセント程度向上するに留まり、日常的なアプリの起動やブラウジングで体感できるほどの差はほとんどありません。
特に、高いグラフィック性能を要求される3Dゲーム、例えば「原神」や「鳴潮」などを高画質設定で快適にプレイするのは極めて困難です。
画質設定を最低レベルまで落とせばプレイ自体は可能ですが、フレームレートが安定せず、戦闘シーンなどでは明顯なカクつきを感じることになります。
一部で「GPU性能が58%向上した」というリーク情報がありましたが、これはOpenCLベンチマークなど特定の条件下でのスコアです。
実際のゲームプレイのように、CPUやメモリなど様々な要素が複雑に絡み合う状況では、この数字通りの性能向上は体感できません。
ゲーム性能の低さを解消したいと考えている方には、正直なところ、Xperia 10 VIIは推奨しがたいのが現状です。
もちろん、ミドルレンジのスマートフォンにフラッグシップ並みのゲーム性能を期待するのは現実的ではありません。
しかし、近年ではGoogle Pixel aシリーズなど、同価格帯でもより最適化が進み、快適にゲームがプレイできる機種が増えています。
そうした競合製品と比較すると、Xperia 10 VIIのゲーム性能が見劣りしてしまう点は、残念ながら否定できない事実です。
バッテリー持ちが悪いとの指摘も

Xperia 10シリーズは、そのスリムな筐体に似合わない圧倒的なバッテリー持続時間が伝統的に高く評価されてきました。
Xperia 10 VIIも前モデルと同様に5,000mAhの大容量バッテリーを搭載しており、この長所は受け継がれていると期待されていました。
しかし、一部のユーザーからは「バッテリー持ちが悪い」という意外な声が挙がっています。
その最大の原因として考えられるのが、10シリーズとして初めて搭載された120Hzリフレッシュレート対応のディスプレイです。
1秒間に画面を書き換える回数が従来の60回(60Hz)から120回(120Hz)へと倍増したことで、非常に滑らかなスクロール表示を実現しています。
しかし、この滑らかさと引き換えに、電力消費も大きくなるのが一般的です。
実際に国内外の複数のガジェットレビューサイトを横断して比較すると、YouTubeの連続動画再生テストやゲームプレイ時のバッテリー消費率が、前モデルであるXperia 10 VIよりも5%~10%程度悪化しているというデータが散見されます。
もちろん、普通に使っていて1日でバッテリーが切れてしまうというレベルではありません。
しかし、これまでの「2日間は余裕」といった圧倒的な安心感を期待して購入すると、少し物足りなさを感じるかもしれません。
バッテリー性能を最大限に活かすには
Xperiaシリーズには、バッテリーの劣化を防ぐソニー独自の「いたわり充電」機能が搭載されています。
これはバッテリーの寿命を延ばすための機能であり、日々の持ち時間とは直接関係ありません。
もし1回の充電での使用時間を少しでも延ばしたい場合は、ディスプレイ設定からリフレッシュレートを60Hzに手動で固定することで、電力消費を抑えることが可能です。
ストレージ容量が128GBのみという点

Xperia 10 VIIが抱えるもう一つの大きな懸念点が、内蔵ストレージ容量が128GBのモデルしか用意されていないことです。
スマートフォンの使い方が多様化し、高画質な写真や動画、そして大容量アプリが当たり前になった現代において、この仕様は多くのユーザーにとって不安材料となっています。
例えば、先述した人気ゲーム「原神」は約40GB、「鳴潮」は約32GBもの空き容量を必要とします。
これに加えて、OSやプリインストールアプリが使用するシステム領域が約23GB程度あるため、ユーザーが実際に使える領域は最初から100GBを切っている状態です。
これでは、いくつかのゲームをインストールし、日常的に写真や動画を撮影しているだけで、あっという間にストレージが圧迫され、容量不足の警告に悩まされる可能性があります。
幸いなことに、Xperia 10 VIIは最大2TBまでのmicroSDカードに対応しているため、容量の拡張が可能です(出典:ソニー公式サイト スペック表)。
撮影した写真や動画、音楽ファイルなどをmicroSDカードに保存する設定にすれば、本体ストレージの消費を大幅に抑えることができます。
しかし、注意点として、ほとんどのアプリは本体ストレージにインストールする必要があり、microSDカードへ移動させることはできません。
そのため、複数の大型ゲームをインストールして楽しみたいユーザーにとっては、microSDカードは根本的な解決策にはならないのです。
長く安心してスマートフォンを使い続けたいと考えるなら、256GBモデルの選択肢がない点は、購入をためらわせる明確なデメリットと言えるでしょう。
望遠カメラは非搭載で撮影の幅が狭い

Xperia 10 VIIのカメラは、広角と超広角から成るデュアルカメラ構成です。
メインとなる広角カメラは、センサーサイズが前モデルの1/2型から1/1.56型へと大型化し、より多くの光を取り込めるようになりました。
これにより、特に夜景や薄暗い室内など、光量が少ない場面での画質が目に見えて向上しています。これは着実な進化と言えるでしょう。
しかし、その一方で、多くのユーザーが期待していた光学的な望遠カメラは、残念ながら今回も非搭載となりました。
遠くにいる被写体をきれいに撮影したい場合、センサーの中央部分を切り出して拡大する「クロップズーム(光学2倍相当)」か、それ以上の倍率では画質が劣化するデジタルズームに頼るしかありません。
光学2倍相当の画質は比較的良好ですが、それ以上の倍率、例えば運動会でお子さんの表情を大きく写したい、旅行先で遠くの建物のディテールを記録したいといった場面では、ノイズが目立ち、輪郭がぼやけた写真になりがちです。
望遠カメラがないと困る具体的なシーン
- 子供の発表会や運動会
- スポーツ観戦(サッカー、野球など)
- コンサートやライブ
- 動物園や野鳥の撮影
- 遠くにある建物の細部や看板の文字を撮りたい時
最近では、Google Pixel aシリーズやGalaxy Aシリーズなど、ミドルレンジのスマートフォンでも高画質な望遠カメラを搭載する機種が増えています。
そのため、様々なシーンで柔軟にズーム撮影を楽しみたいと考えるユーザーにとって、Xperia 10 VIIのカメラ仕様は大きなマイナスポイントとなってしまいます。
Xperia 10 VIIががっかりと言われる機能面の課題
- 顔認証ができない不便さ
- ワイヤレス充電も非対応な点
- 実際のユーザーの評価はどうなのか
- がっかりだけじゃない?良い点は?
- まとめ:xperia 10 vii がっかりポイントと評価
顔認証ができない不便さ

スマートフォンのロック解除は、毎日何十回と行う基本的な操作です。
その利便性を大きく左右するのが生体認証ですが、近年の多くのスマートフォンが標準搭載している顔認証に、Xperia 10 VIIは対応していません。
利用できる生体認証は、本体側面の電源ボタンに内蔵された指紋認証センサーのみとなります。
もちろん、この指紋認証センサー自体の精度や認証スピードは非常に良好で、マスクを着用していることが多い現代においては、指紋認証がメインであることのメリットも存在します。
しかし、日常生活の中では顔認証がないことによる不便さを感じる場面が少なくありません。
例えば、以下のようなケースです。
- デスクワーク中: 机の上にスマートフォンを置いたまま、サッと通知の内容を確認したい時に、いちいち本体を持ち上げて指をセンサーに当てなければなりません。
- 料理中や食事中: 手が濡れていたり汚れていたりすると、指紋センサーが正しく反応しないことがあります。
- 冬場の外出時: 手袋をしていると、その都度外さなければロックを解除できません。
顔認証機能があれば、本体を覗き込むだけで一瞬でロックを解除できるため、こうした日常の小さなストレスから解放されます。
一度このスムーズな体験に慣れてしまうと、指紋認証のみの運用を煩わしく感じてしまう可能性は非常に高いでしょう。
コストとの兼ね合いもあるのかもしれませんが、ユーザーの利便性を考えると、顔認証の非搭載は大きなウィークポイントと言わざるを得ません。
ワイヤレス充電も非対応な点

もう一つ、現代のスマートフォンとして利便性の面で指摘されるのが、ワイヤレス充電規格「Qi(チー)」に非対応である点です。
スマートフォンの充電は、かつての「ケーブルを挿す」行為から、「充電パッドに置く」というよりスマートな形へと進化しつつあります。
この手軽さは、一度体験すると元に戻るのが難しくなるほど快適な機能の一つです。
確かに、ミドルレンジモデル全体で見ればまだ非対応の機種も多く存在します。
しかし、直接的な競合製品となるGoogle Pixel aシリーズなどが対応を進めている中で、Xperia 10 VIIが非対応であることは見劣りする点です。
特に、以下のようなユーザーにとっては、ワイヤレス充電の非対応が購入をためらう決定的な一因となり得ます。
ワイヤレス充電が便利なユーザー像
デスクワーカー: デスク上の充電パッドに置いておけば、常にバッテリー残量を気にせず、着信があればサッと手に取れます。
就寝前の習慣: ベッドサイドの充電器にケーブルを探して接続する手間がなく、置くだけで充電が開始されます。
複数のデバイスを持つ人: ワイヤレスイヤホンなど、他のQi対応デバイスと充電器を共有でき、配線がスッキリします。
充電方法はUSB Type-Cポートを使用した有線接続のみに限られ、充電速度も急速充電に対応するものの、他社製品と比較して際立って速いわけではありません。
充電周りの快適性を重視する方にとっては、物足りない仕様と言えるでしょう。
実際のユーザーの評価はどうなのか

ここまで様々な角度からXperia 10 VIIの懸念点を挙げてきましたが、実際に購入したユーザーは、このスマートフォンをどのように評価しているのでしょうか。
価格.comやX(旧Twitter)、国内外のレビューサイトなどの声を総合すると、評価は「何を重視するか」によって大きく二分されているようです。
ネガティブな評価(がっかり派) | ポジティブな評価(満足派) |
---|---|
「21:9じゃなくなったXperiaに価値はない。持ちにくい」 | 「120Hzは正義。WEBサイトのスクロールが最高に滑らか」 |
「Snapdragon 6番台はやっぱりモッサリ。ゲームは無理」 | 「とにかく軽い!5000mAhバッテリーでこの軽さは驚異的」 |
「電池持ちが良いのが取り柄だったのに、普通になった」 | 「夜景が本当に綺麗に撮れる。カメラの進化は本物」 |
「顔認証もワイヤレス充電もないのは数年前のスマホ」 | 「ステレオスピーカーの音質が明らかに向上していて動画視聴が楽しい」 |
「このスペックでこの価格は高すぎる。コスパが悪い」 | 「イヤホンジャックをなくさないソニーの姿勢を評価したい」 |
やはり、伝統的なデザインの変更、期待を下回る性能、そして時代に逆行するかのような機能の省略といった点に、厳しい意見が集中しています。
特に、長年のXperiaファンほど、その変化に対する失望感が大きい傾向にあります。
一方で、ディスプレイの表示品質、本体の圧倒的な軽さ、暗所でのカメラ性能、そしてソニーならではのオーディオ機能といった、基本的ながらも質の高い部分を高く評価する声も非常に多く見られます。
結局のところ、最先端の機能や最高のパフォーマンスよりも、日常的に使う上での基本的な快適性や信頼性を重視するユーザーにとっては満足度の高い一台となり、それ以上のものを求めるユーザーにとっては「がっかり」な一台となる、という構図が鮮明に浮かび上がってきます。
がっかりだけじゃない?良い点は?

ここまでネガティブな側面に焦点を当ててきましたが、購入を公正に判断するためには、Xperia 10 VIIが持つ多くの優れた点にも目を向けなければなりません。
がっかりポイントを上回る魅力が、そこにはあるかもしれません。
Xperia 10 VIIの確かなメリット
1. 滑らかで美しい120Hz対応有機ELディスプレイ
画面のスクロールが驚くほど滑らかで、WEBサイトやSNSの閲覧が非常に快適です。さらに、ソニーのテレビ「ブラビア」で培った映像技術が投入されており、色彩豊かで美しい映像は動画鑑賞の体験を格段に向上させます。
2. 5,000mAhバッテリー搭載機とは思えない168gの軽量ボディ
同容量のバッテリーを搭載するスマートフォンの多くが200g前後の重量である中、168gという軽さは際立っています。長時間の通話や動画視聴、電子書籍の閲覧でも手が疲れにくいのは、日々の使い勝手に直結する大きな利点です。
3. 大幅に進化したカメラ性能(特に暗所撮影)
新しく採用された1/1.56型の大型センサーは、より多くの光を取り込むことができます。これにより、これまでノイズが多くなりがちだった夜景や薄暗いレストランなどでの撮影能力が劇的に向上し、クリアで雰囲気のある写真を残せます。
4. ソニーのこだわりが詰まった高音質なオーディオ機能
筐体構造を見直したフロントステレオスピーカーは、音の広がりとクリアさが改善されました。そして今や貴重な存在となった3.5mmイヤホンジャックを搭載し、ハイレゾ音源にも対応。有線・無線を問わず、高音質な音楽体験が可能です。
5. 異例の長さとも言える安心の長期サポート
多くのAndroidスマートフォンが2〜3回のOSアップデートでサポートを終了する中、Xperia 10 VIIはOS最大4回、セキュリティアップデート6年間という長期的なサポートが提供される予定です。(出典:ソフトバンク株式会社 プレスリリース)これにより、セキュリティ面でも安心して長く使い続けることができます。
これらの点に強い魅力を感じるのであれば、これまで挙げてきた数々のデメリットを許容できる可能性は十分にあります。
Xperia 10 VIIは、最先端の機能を追い求めるのではなく、日常に寄り添う道具としての快適さと、長く使える安心感を重視するユーザーに向けた、極めて実直な一台と言えるのかもしれません。
まとめ:Xperia 10 VIIのがっかりポイントと評価
この記事では、ソニーの最新ミドルレンジモデル Xperia 10 VIIについて、「がっかり」と言われるポイントを中心に、その性能や機能を多角的に、そして詳細に解説しました。
購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、最後に本記事の重要な要点をリスト形式で改めてまとめます。
結論として、Xperia 10 VIIは、全ての人に手放しでおすすめできる万能なスマートフォンではありません。
トレンドの機能が省略されている点や、性能面での物足りなさは明確な弱点です。
しかし、その一方で「軽さ」「美しさ」「音の良さ」「長く使える安心感」といった、日々の体験の質を高める基本的な要素に、ソニーらしいこだわりが凝縮されています。
この記事で挙げたメリットとデメリットを天秤にかけ、ご自身の使い方にとって何が最も重要かを見極めることが、賢いスマートフォン選びの第一歩となるでしょう。